不動産取引では、公示地価という言葉を聞くこともありますが、どのような価格でしょうか?
公的な不動産価格として税務署や市町村の税額算出にも利用されますが、不動産売買の時も有利になると言われているのです。
今回は、公示地価の検索方法や東京における具体例なども交えてご紹介します。
記事の目次
不動産に出てくる公示地価とは?
公示地価とは、国が定期的に土地などの価格を評価したもので、不動産取引の目安となる価格だと思っておくと良いです。
例えば、国が道路などの公共事業の為の用地を買い取る際には公示地価を基準にして土地などを買取ります。
他にも課税の目安となりますが、土地の取引価格と金額が同じという訳ではありません。
こちらでは、公示地価というのがどのようなものなのか?ご紹介します。
公示地価の決め方
公示地価は、土地鑑定委員会の不動産鑑定士が2名以上在籍し鑑定しています。
不動産鑑定士が価格を出し、土地鑑定委員会が審査や調整をして決めているのです。
単純に平均値などを出すのではなく、市場価値を考えた正常価格を出すのが公示地価の概念になっています。
客観的な土地の金額になっている為、土地取引や税額などの基本になっているのです。
公示地価と路線価
公示地価とは、全国に2万5千か所ほどの地点があり、その価格を出したものです。
つまり、個々の土地に対する価格ではない為、実際に購入する時の土地の値段とは違うという事もあるのです。
その為、公示地価と同じように考えられているのが路線価ですが、この二つは同じという訳ではありません。
公の地価である公示地価とは違い、路線価には相続税路線価と固定資産税路線価があるのです。
相続税は国税、固定資産税は地方税なので、路線価を出すのは税務署と市町村ということになります。
これらの路線価によって税金額が決まりますが、相続税の場合、公示地価の8割程度です。
固定資産税は、3年ごとに更新されるので、公示地価の7割程度を目安にしていて税額を算出しています。
路線価の目安も公示地価になるのです。
公示地価と時価の違い
公示地価は、毎年1月1日の価格を工事していて、指標とはなりますが、土地の売買価格とは異なります。
1月の公示地価の後に、天災が起こったり周辺に駅やショッピングセンターができたりすることによって土地の価格は変動するのです。
これを土地の時価といい、売買する時点での価格となります。
つまり、1月1日時点より時価は安くなったり高くなったりする為、公示地価と売買価格は同じだと考えない方が良いのです。
不動産取引では、このような不動産の価格が公示地価の他にもいくつかありますので、あくまで目安にすることをおすすめします。
公示地価を探す方法
以前は、公示地価を調べようと思うとわざわざ法務局などに出向いて、土地の地図などを持参しなければなりませんでした。
役所を周ったり、電話で事前に必要なものを用意したりしなければなりませんでしたが、公示地価の調べ方は格段に簡単です。
現在は、ネットの普及によって、必要事項を入力する事で公示地価を簡単に知ることができるようになっています。
自宅に居ながら公示地価を知ることができるので、24時間365日いつでも調べる事が可能です。
東京の公示地価はどうやって探すか?その具体例とは?
公示地価は、ネットで調べる事が可能になっていますが、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか?
例えば、東京の公示地価を調べる具体的な方法をご紹介します。
まずは、パソコンやスマホの検索窓に「公示地価」と入力してください。
検索すると国土交通省などの国土交通省地価公示・都道府県地価調査が出てきます。
こちらで、東京都を選び、細かい区や町などを選びましょう。
地図から選べるようになっているのでクリックしていけば目的の地区の公示地価が判るようになっています。
墨田区を選ぶと、公示地価は11か所、1平方メートル辺り、約30万円から50万円の範囲の公示地価を見ることができるのです。
そんなに難しくありませんので、一度のぞいてみるのも良いでしょう。
公示地価を知るメリット
公示地価を知っていると次のようなメリットが期待できます
- 土地を選ぶ際のポイントになる
- 土地を売却する際交渉の目安になる
- 不動産業者との交渉材料になる
- 税金支払算出の目安になる
不動産を売買されたい方は、売買価格だけ判れば良いのでは?と思うかもしれません。
しかし、公示地価を知ることは、売買価格の指標にもなるので、知っておくのと知らないとでは、大きな差が出てくるのです。
公示地価を知っていることで、売買の時に不動産業者の言いなりになるのではなく、基準にして交渉する事もできます。
不動産業者によっては、早く売買したい為、ある程度の金額しか不動産売却価格を出さないことがあるでしょう。
でも、公示地価を知っていれば、明らかに査定額が安い場合、査定額を上げられないのか目安にすることができます。
また、不動産を購入する場合でも公示地価に対して明らかに高い場合は値下げ交渉をすることもできるでしょう。
不動産を購入してからの税金支払い金額なども判りますし、ファイナンシャルプランナーなどに収支計算をしてもらう時も、公示地価を知っていると良い事がたくさんあります。
あくまで公示地価なので、売却価格ではありませんが、売り買いの時に知っておくとメリットが多いでしょう。
公示地価を基準にした不動産取引について
不動産取引では、日常的に公示地価を利用していますが、初めて公示地価を見る方は、どのようにして取引が行われているのか判らない事も多いです。
こちらでは、具体的に公示地価を利用した不動産取引にはどのようなものがあるかなどをご紹介します。
ネットの一括査定も公示地価を利用している
不動産の価格を調べる時、最近ではネットの一括査定を利用される方が増えてきています。
このようなネットの査定額も公示地価を参考にしている場合が多いです。
あらかじめ、企業ごとに公示地価に準ずる価格を入力している為、実際の売買価格に比べると一括査定時は価格が高くなっている事が多いでしょう。
一括査定の金額がそのまま売買価格だと思っている人も多いですが、実際は、建物が付帯しているとかなり金額的に安くなることもあります。
公示地価より、かなり一括査定金額が違うという事もあるのでよく比較する必要があるでしょう。
一括査定の価格だけで不動産業者を決める方もいらっしゃいますが、実際の査定金額と差が大きくなることもあるので、1社ではなく複数社から物件査定をしてもらいましょう。
不動産価格は公示地価で交渉しよう
不動産売買を始めて行う人は、不動産業者のいいなりになって、予想以上に安く売ったり、高く購入したりする事もあるでしょう。
不動産トラブルでもこのような事態が多く発生していますので、まずは目安である公示地価をチェックするのがおすすめです。
公示地価を基準に交渉すれば、不動産業者も極端に値段を上げたり下げたりできません。
また、その不動産を購入して将来売る時の価値も公示地価では判るのです。
公示地価が乱高下している場所やこれから値上がりや値下がりが予想される不動産は、注意が必要になります。
最終的に、不動産を売ったり買ったりするのは自分なので、資産価値である公示地価を知ることが自分を守ることになるでしょう。
公示地価の推移
購入したい不動産や売りたい土地などがある場合、必ず公示地価の推移をチェックしておいてください。
公示地価は、昔からずっと同じという訳ではなく、周辺環境等によって変化する事も多いです。
例えば、近隣に大型スーパーができたり、小学校などが新設されたりすると公示地価が上がる事もあるでしょう。
逆に土壌汚染が発見されたり、土砂崩れなどの自然災害が起きたりすると公示地価が大幅に下がる可能性もあるのです。
不動産売買の際は、公示地価だけではなく公示地価の推移も合わせて確認しておきましょう。
まとめ
不動産業界などで働いている人は別ですが、それ以外の人が不動産を売買する場合、どれくらいの相場で取引されているのか知らないのが普通です。
公示地価から少し離れただけで価格が変わることも多いのですが、不動産価格の目安になる事には変わりありません。
実際に不動産業者等に査定をしてもらわないと売買価格は判りませんが、公示地価を知っていることで、高額な不動産売買を有利に進める事が可能になります。