不動産にちょっと詳しい人で市街化調整区域をご存知の方もいらっしゃいますが、詳しい中身がわからないという人も多いでしょう。
市街化調整区域は、そもそも売買ができるのか?建物を建てられるのか?と疑問に思っている方もいるのです。
こちらでは、市街化調整区域の不動産はどのようなものなのか?売買ができるのか?
注意点などについてご紹介しましょう。
記事の目次
不動産が市街化調整区域だったらどうなる?
所有している不動産が市街化調整区域だと、一般的に市街化区域に比べ売れにくいと言われています。
なぜ?市街化調整区域は不動産売買がしにくいのでしょうか?
市街化調整区域の内容や制限、売買できるのかどうかをご紹介します。
市街化調整区域とは?
国は都市計画法で、開発を進める市街化区域と、開発を抑制する市街化調整区域を設けています。
つまり、市街化調整区域は、積極的に開発を行わない地域の為、建物を建てるにも行政の許可が必要であり、様々な制限があるのです。
開発行為は原則として行われませんが、都道府県知事などの開発許可を受ければ開発する事もできます。
ただし、一般的な不動産業者では、売買自体を断られる事も多い為「売買しにくい不動産」という印象が強いです。
市街化調整区域は売買できるのか?
市街化調整区域は、様々な制約があり、申請などが必要な為、市街化区域に比べると人気が低く、不動産価値も低くなることが多いです。
しかし、売買する事は可能になっています。
制限はあるものの、建物を建てるのも許可さえもらえばできるからです。
しかし、市街化区域に比べると市街化調整区域を購入したいという人は少ないと言えるでしょう。
また、不動産売買を取り扱ってくれる業者が少ないのも現状です。
市街化調整区域を専門で取り扱っている不動産業者もいますので、そちらにお願いして売買する事は可能になっています。
市街化調整区域の制限
こちらでは具体的な市街化調整区域の制限についてご紹介します。
市街化調整区域には制限があることを知らない方もいらっしゃいますのでご確認ください。
建物には許可が必要?
市街化調整区域は、基本的に田園地帯に指定されている為、農業などを営む人の家は別として、一般の人の住居は建てられません。
しかし、静かで自然が豊かですし、市街化区域に比べると土地の値段が安いので市街化調整区域に家を建てたいという人もいるのです。
市街化調整区域でも開発審査会などの許可が取れれば建物を建てることができます。
ただし、必ず許可が下りるという訳ではないので、不動産業者との契約には注意が必要です。
建物の建ぺい率が決まっている
市街化調整区域が不人気な理由の一つに、建ぺい率が決まっているというのもあります。
建ぺい率とは、土地の広さに対しての建物割合の事で、50坪の土地に50坪の家を建てれば、建ぺい率100%という事になります。
市街化調整区域の場合、都市計画法によって建ぺい率が制限され、許可を受けて建てる場合、建ぺい率は40%以下となっています。
つまり、50坪の土地ならば、20坪分建物を建てる事が可能になるのです。
他にも、建築物の高さ10m以下や容積率80%以下、外壁の後退距離1m以上などの制限があります。
広い土地の場合、問題ありませんが、狭い土地で家を建てようと考えている人は、どれ位の広さになるのか、よく検討する必要があります。
整備費が自己負担になる
市街化区域の場合、ライフラインである電気・水・ガスなどの設備は、市町村などが行ってくれます。
下水道などもきちんと整備され、住みよい環境が整っていますが、市街化調整区域は違います。
元々、田園地帯を想定しているので、水道などは整備されていても、電気や下水道設備が無い場合もあるのです。
しかも、市街化調整区域の場合、整備する際にも補助金が出ない事が多いので自己負担になります。
この辺りの点からも市街化調整区域は不便だと感じている人が多いようです。
市街化調整区域のデメリット
市街化調整区域には次のようなデメリットがあります
- 建築制限がある
- ローン制限がある
- インフラが遅れる
- 不動産が売れにくい
このようなデメリットにはどういう特徴があるのでしょうか?
詳しくデメリットの内容をご紹介します。
建築制限がある
市街化調整区域に建物を建てたいと思った時、建築制限に気がつかれる方も多いでしょう。
新たに新築で建てる時だけではなく、増築する場合でも許可が必要になることがあるのです。
建築制限をすることによって市街化がとめどなく広がることを防ぎます。
また、建ぺい率や容積率、建物の高さ制限などで建物自体も制限しているのです。
このような制限がある為、市街化調整区域の建物は市街化地域の様に密集することが無いのです。
これらの制限も許可があれば関係ないので、市街化調整区域に何か建物を建てたい場合、許可を取る事が必須になります。
市街化調整区域でも、公共の施設や農林水産業などの施設などは建てることが可能です。
また、農業に従事する人の自宅などは問題なく建てることができます。
ローンの制限がある
市街化調整区域で家を建てようとお考えの方の中には、銀行で住宅ローンなどを借りて建てる事も多いです。
しかし、銀行などによっては、市街化調整区域を理由に金額を低くしたり、ローン自体の契約を行わなわなかったりすることがあるのです。
どうしてかというと、市街化調整区域は、いざローンが滞った際、売りに出してもすぐに売れないことがあるからです。
現金や定期預金とは違い、不動産は換金されにくく、特に市街化調整区域などの条件が付いている土地建物を金融機関が避ける傾向は多いのです。
市街化調整区域でローン制限があるなら、このような理由を考えておきましょう。
インフラが遅れる
市街化調整区域は、農業などを目的とした田園地域にしたい場所です。
その為、市町村もインフラ整備を積極的に行っていないので、水道や電気が無いような場所も市街化調整区域では見られます。
人が家を建てて住むためには、最低限、電気ガス水道などのライフラインが必要ですが、それ以外の下水道設備が無い場所も市街化調整区域では多いです。
市町村の整備を待っていても、あてにはなりませんので、市街化調整区域に住むなら自分でライフラインを整える必要があるでしょう。
不動産が売れにくい
市街化調整区域に指定されている不動産は、売買をしようとしても売れない事が多々あります。
なぜなら、市街化調整区域内にある不動産という事で訳あり物件になってしまうからです。
市街化区域の場合には無いような様々な制限が市街化調整区域には存在します。
建物を建てるのに許可も必要ですし、様々な制限がかかる為、手続きが面倒だと思う方も多いでしょう。
不動産業者も同じく、市街化調整区域だからという理由で売買できないと断られる事さえあるのです。
市街化調整区域を専門に扱う業者もいますので、そちらで不動産取引を行うと良いでしょう。
市街化調整区域売買の注意点
市街化調整区域の不動産を持っていて、売買しようと思ったらどのような点を注意すればよいのでしょうか?
市街化調整区域売買の注意点についてご紹介します。
自治体によって市街化調整区域の内容が違う
市街化調整区域の制限などは、自治体によって異なることがあります。
元々は、都市計画法という法律から市街化調整区域が決められているのですが、規制が緩和されている場合もありますし、そのままの地域もあります。
市街化調整区域は、原則的に個人の建物を建てられないのですが、この点は規制緩和になっている所が多いようです。
不動産がある場所の規制内容などを確認しないと、建てられないという事になることがありますので注意しましょう。
市街化調整区域は新たに制定される
以前は市街化調整区域ではなかったのに、昨年から指定区域になったという場所も不動産の中にはあるでしょう。
このような場合があるので、新たに土地を購入するときは、市街化調整区域でないか?将来的に市街化調整区域に入らないか確認しておいた方が良いのです。
売る場合も、市街化調整区域の情報を確認しておき、近々区域に指定されるようなら、早めに売っておいた方が良い場合もあるでしょう。
市街化調整区域のメリットを重視
市街化調整区域は、不動産業者もあまり取り扱いたくない物件ではありますが、メリットを重視すれば、良い点もたくさんあります。
まず、第一に市街化調整区域のメリットとしてあげられるのが、市街化地域より価格が安いという事です。
市街化調整区域によっては、市街化区域の3分の1程の価格で土地などを購入できる所もあります。
地方によっては、坪30万円の土地を10万円で買えるわけですから、家を建てたい人には魅力的です。
建築制限などはありますがクリアすれば問題ないですし、自然が豊かで子育てにピッタリな場所も市街化調整区域には多いでしょう。
このような点を重視される方なら、少々整備費がかかったとしても市街化調整区域に家を建てるメリットは高いのです。
まとめ
市街化調整区域は、デメリットばかりを強調されやすいですが、業者によっては優良物件だという事もあるでしょう。
まず、価格的に安いですし規制さえクリアして、許可が通れば、様々な可能性があるからです。
ただし、市街化調整区域でも申請すればすべて許可が通るという保証はありません。
リスクが市街化地域より高いことに変わりがないのです。
その為、市街化調整区域を売買するならば、様々なシチュエーションを想定していなければならないでしょう。
建物を建てて検査の時に通らないようなことが無いよう、建築会社ともしっかり打合せをしなければならないのです。
自治体によってかなり中身が異なりますのでチェックしてから建物を建てるなどの対策を取っておくと良いでしょう。