一戸建てやマンションなどを購入するとき、住宅ローンを利用する人が多いと思います。
住宅ローンを利用すると、住宅ローン控除を10年間受けることができます。
この記事では、住宅ローン控除の基礎知識、控除を受けることができる条件や申請方法、どれくらいの還付金を受け取ることができるのか?などについて解説します。
住宅ローン控除の仕組みを理解しましょう
住宅ローン控除の正式名称は、住宅借入金等特別控除で、住宅ローン減税と呼ばれることもあります。
年末時点で、住宅ローンで借り入れしている残高の1%について、所得税と住民税から控除され還付金を受けられる仕組みです。
住宅ローン控除を受けることができる期間は10年間で、2019年6月までに住宅を購入して入居した場合、毎年最大で40万円控除されます。
住宅ローン控除の対象となる住宅ローンは、住宅金融支援機構が提供するフラット35や、銀行・信用金庫などの金融機関が提供する住宅ローンになります。
親・親類などから借り入れしたものや、勤務先の従業員向けの貸付は、住宅ローン控除の対象にならないので注意しましょう。
これらを利用するときには、住宅ローンを利用したときの控除額と、利息などを比較して判断することが重要です。
また、様々な条件がありますが、新築住宅に限らず、中古住宅やリフォームで住宅ローンを利用したときにも利用できる制度です。
新築住宅で住宅ローン控除を受ける条件
新築住宅で住宅ローン控除を受ける場合は、主に次の条件をクリアしている必要があります。
- 新築または取得日から6か月以内に入居していること
- 登記簿に記載されている床面積が50平方メートル以上であること
- 床面積の2分の1以上があなたの住居用であること
住宅ローン控除の対象となる住宅は、あなたが住むための住宅でなければいけません。
そのため、不動産投資のためにマンションを購入する場合の住宅ローンや、親や子供が住む住宅の費用をあなた名義の住宅ローンで借りる場合などは、住宅ローン控除の対象となりません。
また、住宅と店舗・事務所が兼用の物件についても、居住用の床面積が2分の1以上なければいけません。
借り入れした人の所得金額が3000万円以下であること
年収からさまざまな控除を引いた後の金額(所得)が、3000万円以下であることが求められます。
夫婦で連帯債務としている場合で、夫婦のいずれかが3000万円以上の所得がある場合、3000万円以下の人のみ住宅ローン控除を受けることができます。
ローンの返済期間が10年以上あること
住宅ローンを繰り上げ返済する場合は注意が必要です。
繰り上げ返済後の返済期間が10年以内となった場合、住宅ローン控除の対象ではなくなります。
中古住宅で住宅ローン控除を受ける条件
中古住宅で住宅ローン控除を受ける場合は、新築住宅の条件に加えて、主に次の条件をクリアしている必要があります。
一定の耐震基準をクリアしていること
マンションなどの鉄筋コンクリートなどの耐火建築物ならば、築25年以内の物件である必要があります。
また、木造住宅などの耐火建築物以外ならば、築20年以内の物件である必要があります。
リフォームで住宅ローン控除を受ける条件
リフォームで住宅ローン控除を受ける場合は、新築住宅の条件に加えて、主に次の条件をクリアしている必要があります。
- 工事費用が100万円以上であること。
- 省エネリフォーム、バリアフリーるフォーム、耐震リフォーム、大規模な間取り変更や修繕であること
- 居住用部分のリフォーム費用が全体の2分の1以上であること
住宅ローン控除の還付金はどれくらい受け取れるでしょうか?
住宅ローン控除を受けることができる期間は10年間で、2019年6月までに住宅を購入して入居した場合、毎年最大で40万円控除されます。
しかし、これはあくまで最大金額であって、実際に最大金額の還付金を受けることができるのはまれです。
住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の1%が、所得税と住民税から控除され還付されます。
最大金額の控除を受けるためには、住宅ローンの年末残高が10年間ずっと4000万円を超えていている必要があります。
それに加え、所得税と住民税の合計が40万円を超えていなければいけません。
したがって、最大金額の還付金を受け取れるケースは非常にまれです。
また、たとえ住宅ローン控除が30万円だったとしても、所得税と住民税の納付金額が30万円未満だった場合、その金額を超えてお金が戻ってくることはありません。
住宅ローン控除は、まず所得税から控除され、残った分が住民税から控除されます。
このとき、住民税からの控除は、課税所得金額の7%と、13万6500円と、どちらか少ない方の金額が、住民税からの控除の上限と決められています。
住宅ローン控除を受けるには、まず1年目に確定申告する必要があります
住宅ローン控除を受けるには、住宅ローンを借り始めた直後の2月16日~3月15日に行われる、確定申告をする必要があります。
多くの会社員は、確定申告の経験がなく、どんな手続きなのか?不安に思うかもしれませんが、必要な書類を準備し、確定申告会場に行けば心配する必要はありません。
また、確定申告の時期になると、市役所や区役所で、無料の相談会が開催されることもあります。積極的に活用することをおすすめします。
住宅ローン控除を受けるために準備する書類があります
住宅ローン控除を受けるためには、1年目に確定申告をする必要がありますが、そのときに必要な書類は次の通りです。
住宅購入時に不動産業者より受け取る書類もありますので、無くさないように保管しておきましょう
登記事項証明書
法務局へ出かけて交付を受けることもできますが、ネットでオンライン交付を受けることもできます。
法務局で交付を受ける場合は手数料が600円かかりますが、オンライン交付で郵送で受け取る場合の手数料は500円、法務局サービスセンターで受け取る場合の手数料は480円とお得になります。
オンライン交付の場合、インターネットバンク、Pay-easyに対応したATMで手数料を支払うことができます。
売買契約書(請負契約書)
住宅を購入した不動産業者から受け取ったものです。
住宅ローンの年末残高証明書
住宅ローンを借り入れている金融機関から、毎年10月~11月頃に郵送されてきます。
源泉徴収票
勤務先の給与担当部署が発行します。
多くの場合、確定申告までに発行されますが、間に合わない場合は、住宅ローン控除の手続きで必要だと伝えて、担当部署に依頼しましょう。
住民票の写し
住宅ローン控除は、あなたが住んでいる住宅を対象に控除されますので、あなたが実際に住んでいる証明が必要になります。
住宅ローン控除を受ける住宅に、住宅入手後6か月以内に住民票を移すことを忘れないようにしましょう。
なお、中古住宅の場合は、追加で次の書類のうちいずれかが必要になります。
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅性能評価書
- 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
2年目以降の住宅ローン控除の手続き
1年目に確定申告をすると、2年目の確定申告の時期までに、あなたの地域を管轄する税務署から、「住宅借入金等特別控除申告書」が9年分郵送されます。
住宅ローン控除が10年間受けられて、1年目の還付が終わっているので、残りの9年分がまとめて送られてきます。
住宅ローンの年末残高証明書は毎年郵送されるので、紛失する危険性も低いですが、この住宅借入金等特別控除申告書は9年間必要になりますので、権利書や通帳などと合わせて保管するなど紛失しない工夫が必要です。
ただ、紛失しても、税務署に再発行を依頼すれば無料で発行してくれます。
2年目以降、会社員の場合は、医療控除など確定申告をする必要がない限り、年末調整と同時に、勤務先に書類に住宅ローンの年末残高証明書を添付して提出するだけで手続きが終わります。
個人事業主などの場合は、毎年の確定申告に合わせて書類に住宅ローンの年末残高証明書を添付して提出することで、住宅ローン控除を受けることができます。
まとめ
いかがでしょうか?
住宅ローン控除について、仕組み、申請方法、条件など理解できたでしょうか?
住宅ローン控除について、不明点などがあれば、あなたの住む地域を管轄する税務署に質問してみることをおすすめします。