農地活用

農地バンクとは?実績の紹介とメリット・デメリットを解説します

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農地バンクとは?実績の紹介とメリット・デメリットを解説します

農林水産省推進事業として行われている農地バンク事業ですが、どのような事業でしょうか?

農地バンクの概要はもちろん、利用したい人がどのようにすればよいのか?

メリット・デメリットについてもご紹介します。

農地バンクって何?

日本では、若い世代の農業離れが深刻化していて、休耕地問題が各地で起こっています。

国は、長期的な政策として休耕地などの農地を活用する方法を模索しているのです。

その一つの取り組みが農地バンクになります。

こちらでは、農地バンクの具体的な内容をご紹介しましょう。

農地バンクとは?

農地バンクは、農林水産省が推奨していて、各都道府県の農業公社が行っている農地あっせんサービスになります。

高齢化などで農地を使わなくなった人などが公的機関である農地バンクに貸し、農地バンクが農地を借りたいという人に貸すという仕組みです。

貸す人は公的機関に貸すので賃料がもらえないという事も無いですし、借りる人も、農家と個別に交渉しなくてよいのでトラブルが発生しにくいです。

農地の借り受け公募が行われているので、そちらに応募して農地を借りるという仕組みになっています。

ネットの全国農地ナビなどを利用すると、どこで農地の公募を行っているのか瞬時に分かります。

本格的に農業を行いたい人の為の仕組みが農地バンクだと思ってよいでしょう。

農地バンクのメリット・デメリット

農業改革の目玉として注目されている農地バンクですが、メリット・デメリットはどのようになっているのでしょうか?

一見、メリットばかりありそうな農地バンクですが、デメリットにはどのようなものがあるのかも確認しておきましょう。

どちらも確認することで、農地バンクを利用するかどうか検討してみるポイントになります。

農地バンクのメリット

農地バンクのメリットには次のようなものがあります。

  • 休耕地などの農地を活用できる
  • 農地管理の労力を減らせる
  • 農地バンクが借り手を探してくれる
  • 節税対策になる
  • 賃料が入る
  • 期間終了で返ってくる

農地をそのままにしておくと、先々農地として使おうとしても耕作放棄地として使う事ができなくなることもあります。

休耕地は荒れることで様々な害もありますし、農地バンクで誰かが使う事で農地管理にもなるのです。

また、農地を使ってもらう事で税金が高くなることも無く副収入として賃料がはいってきます。

公的機関である農業公社が農地バンクを行っているので、賃料が入ってこないという事もありません。

10年したら農地が返ってきますので、その後の農地活用もできます。

農地バンクのデメリット

農地バンクのデメリットには次のようなものがあります。

  • 借り手がだれか判らない
  • 他人に抵抗感を持つことがある
  • 借り手がいない場合もある
  • 10年間返ってこない

一般的に農地は、親せきや知人に貸すことがあっても、全く知らない人に貸すという事は農業地域では少なかったのです。

しかし、農地の高齢化が進み、借り手がどんどん減ってきているため、農地バンクが活用されるようになってきていますが、抵抗感があるという人も多くいます。

また、農地バンクに登録しても必ず借り手が見つかるというわけではありません。

特に交通アクセスが悪い農地などは、借り手がいないというのが現状です。

借り手が見つかったとしても、その場所を他の用途に10年間は使う事ができない為、予定が変わったからと言って農地バンクをやめるわけにもいかないのです。

農地バンクの流れ

農地バンクを貸すにしても、借りるにしても、流れを確認しておきましょう。

就農を考えている人は、一度、こちらをご覧になって参考にされるのもおすすめです。

農地バンクを貸すときの流れ

農地バンクを貸したい時は、次のような流れで手続きを行います。

  1. 農地バンクに所有している貸したい土地を登録
  2. 農業委員会事務局が現地確認登録
  3. 登録農地の情報公開
  4. 希望者が見つかったら農地バンクから連絡が来る
  5. 貸し手と借り手で交渉後賃借契約
  6. 利用権設定申出書を農地バンクに提出
  7. 農業委員会にて審議
  8. 審議決定後就農開始

農地バンクは、このような流れで人に貸すことになりますので、前もって条件などを決めておくとスムーズに契約まで進むことができます。

農地バンクが介在するので農業委員会の審議も手早く行われるでしょう。

また、賃料が入らないというトラブルも農地バンクなら心配無用です。

農地バンクを借りる時の流れ

農地バンクを借りたい時は、次のような流れで手続きを行います。

  1. 全国農地ナビなどで農地を検索※要件あり
  2. 希望農地が見つかったら農地バンクに連絡
  3. 農地バンクから所有者に連絡
  4. 貸し手と借り手で交渉後賃借契約
  5. 利用権設定申出書を農地バンクに提出
  6. 農業委員会にて審議
  7. 審議決定後就農開始

農地を借りたい、新規で就農をしたいけど土地が無いという人は、農地バンクを利用するとメリットが大きいです。

一般的な不動産として農地を探すのは大変ですし、その後のサポートなどを考えると、農地バンクで探した方が効率的です。

直接交渉を所有者と行いますが、農業委員会などが間に入ってくれるので就農開始までも補助金をもらえることがあります。

農地を借りる人にもメリットが大きいのが農地バンクなんです。

農地バンクの問題点

アベノミクスの3本の矢の一つとして出発した農地バンクですが、現状は予想されていたよりはるかに利用率が低いです。

こちらでは農地バンクの問題点を確認し、利用する場合の注意点となるポイントをご紹介します。

農地所有者が高齢で利用できない

農地バンクも全国農地ナビも、最初のスタートがネットの利用です。

そもそも、現代の農業者や農業の引退を考え、他の人に農地を貸したいと考えている人は、高齢者がほとんどでしょう。

高齢の農業従事者の中には、家にネット環境が無いという人も多く、スマホで情報を得ていない人もいらっしゃいます。

つまり、農地バンクの入口にまでたどり着いていない為、必要な情報を登録することもできないのです。

30代から50代までのネット利用をしている就農者は、農地バンクに農地の一部を登録することもあるでしょうが、現状は使ってない休耕地ばかりなので、借りたいという人も少ないと言えます。

農地を別の人が相続する

例えば、農地バンクに登録してあった土地を交渉し借りたのに、数年後契約した人が亡くなって子供さんなどが相続することも多いです。

このような場合、農地を売却したいという事になると、借りている人とトラブルになることもあるのです。

農地バンクで契約しているため、すぐに農地を明け渡すようなことはありませんが、契約の際に相続時の対応についても記載しておいた方が無難でしょう。

相続した人が売却を急ぐ時などは、トラブルになり裁判となることも多いので気を付けてください。

なぜ農地バンクが広がらないのか?

農地バンクという言葉は聞いたことがあるけど、それをどうやって活用すればよいのか判らない、という人も多いです。

農地をそのままにしておいても、税金を払うだけでもったいないと考えている場合もあるでしょう。

登録するかどうかは別として、まずは農地バンクがどのようなものか?

登録した時のメリット・デメリットを比較して、自分の農地をどうやって生かしていくか考える必要があるのかもしれません。

農地バンクが広がらないのは、知識不足だけではなく、日本の農業が徐々に衰退し、農業に夢を持てない若い人が多いというのも原因の一つになっているのでしょう。

貸したい人は多いけど、借りたい人はほとんどいないという今の現状を打開するには、大きな農業改革が必要なのかもしれません。

まとめ

近年、無農薬野菜ブームや食育の影響で、家庭菜園規模の農業を行いたいという人が増えつつあります。

自分で美味しい野菜を作ってみたいという人は案外多いのです。

農地バンクは、大規模農家向けの政策として始まったかもしれませんが、地域によっては家庭菜園向けの政策に切り替えると、今より利用率が上がるかもしれません。

農家が家庭菜園での栽培方法を指導することで、未来の農業人を育てる機会にもなります。

美味しくて安全な野菜を日本でたくさん増やしたいなら、農地バンクの使い方を発想転換しても良いかもしれません。

外国と違い、日本の土地は狭いですが、農地バンクで有効利用すれば、これまでにない効率的な農業もできるのです。

せっかくある農地バンクの仕組みをもう少し有効利用して、おいしい野菜を安く食べられる仕組みをきちんと確立して欲しいものです。

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