農業をしていない人や農業から別の職種に変える人は、農地転用を考える事も多いです。
農地転用は簡単に行うことができませんし、安易に行っても不許可になります。
なかなか難しい、農地転用のやり方を詳しくご紹介し、メリット、農地転用の実例や注意点はどのようなことか考えてみましょう。
記事の目次
農地転用のやり方
農業をする予定が無い為、所有している農地の転用を考えている人がいらっしゃいますが、農地転用はどうやって行えばよいのでしょうか?
こちらでは、農地転用のやり方を詳しくご紹介するだけではなく、メリットや実例もご紹介します。
農地転用とは?
農地転用とは、農地で農業を行う事ができない人が、農地を他の目的で使用できる土地に転用するものです。
農地では、基本的に農業を行いますが、遺産などで受け継いだ人が農業を行うとは限りません。
そのような状況では、農地を貸すことも考える人がいるのですが、なかなか農地を借りてくれる人もいないのです。
農地転用は、農業以外の活用のために必要な申請です。
農地転用の流れ
実際に農地転用はどのような流れで行えばよいのでしょうか?
まずは、農地の状況を確認しなければなりません。
農地が現在どのような状況になっているか?公図や登記簿などに照らし合わせ確認する必要があるのです。
確認したら農業委員会に行きましょう。
個別の農地によって集める意見書が異なりますので、事前に聞いておいた方が良いです。
申請書の作成方法など詳しく聞いてください。
申請書や計画書ができたら農業委員会に行って確認した後申請します。
申請書を提出すると農業委員会と都道府県がやり取りをして申請者に許可・不許可の通知がきます。
農地転用で必要な書類
農地転用には次のような書類が必要になります。
- 農地の登記簿謄本
- 土地の地番を表す公図
- 土地の状況を表す縮尺図
- 建物などの図面
- 法人の場合定款と法人登記簿
- 所有者の同意書
- 耕作者の同意書
- 法令許認可書面
- 取水・排水に関する書面
- その他必要書類
他にも個々の土地によって農業委員会が求める書類を準備します。
これらの書類に不備があると不許可になってしまいますので気を付けましょう。
農業委員会で確認する
必要書類を準備したら必ず申請前に農業委員会に行って確認してもらいます。
書類の不備や足りない書類が無いか見てもらえますので安心です。
申請してからだと手続きがややこしくなるので、何度も足を運んでしっかりと不備が無いよう準備しましょう。
農地転用は目的が無いとできない
農地を相続した人の中には、農地を少しでも高く売ろうとして農地転用をする人がいます。
日本の政策では、貴重な農地をそう簡単に転用することができないようになっている為、とりあえず農地転用したいというような申請では不許可になります。
なぜなら、何でも農地転用を許可してしまうと、大切な日本の農地がどんどん失われてしまうからです。
どうしても農地を活用できないので、駐車場にしたいとか、太陽光発電をしたいなどの目的が無いと農地転用は認められません。
売買目的だけで農地転用はできないと思った方が良いでしょう。
農地転用のメリット
農地転用を行うと次のようなメリットが期待できます。
- 農地を活用できる
- 収益が得られる
- 将来の不安が減る
農地は持っていても農業をしなければ何もできません。
どうしても農業ができない場合、農地転用をすることでその土地を活用することができるのです。
活用方法によってはその土地で収益が上げられるため、固定資産の支払に回す事もできますし、将来の為に貯蓄に回す事もできます。
農地転用の実例
農地転用を行う人はどのような事をする人が多いのでしょうか?
こちらでは、農地を転用してどのような事に活用しているのか実例をご紹介します。
太陽光発電
近年、農地活用法で多くなっているのが太陽光発電です。
日当たりの良い農地ならば、太陽光発電を行う事で規模によってはかなりの収入に繋がります。
初期投資費用はかかりますが、場所により費用対効果は高い活用法です。
企業側から農地を太陽光発電に貸して欲しいというケースもあるので、自分で行って芋良いですし、土地を貸すという手段もあります。
駐車場
農地が住宅地や比較的人口が多い場所にあるならば、駐車場に農地転用してみるのも良いでしょう。
駐車場は、比較的設備費がかかりませんし、他の業態へ転換するにも建物が無いのでスムーズに移行できます。
農地から農地転用する方で駐車場にされたい方は多いです。
ただし、需要が無ければ駐車場にできない事もあるので、気を付けましょう。
借地として個人に貸す
農地転用で借地として土地を個人に貸し出す事も可能です。
ただし、借主が見つかってからでないと借地として農地転用はできません。
借りたいという人が見つかってから農地転用しますが、土地を貸す時は次のような点を注意しましょう。
一般的な借地権だと借主が借りたい意志があればずっと土地を貸さなければなりません。
定期借地権にすると50年という期限ができます。
自分が将来的にその土地をどのようにしたいかで土地の貸方を決める事もできるので、よく検討しましょう。
借地として事業者に貸す
農地転用で借地として貸す場合、個人向けばかりではなく事業者向けに貸す事もあります。
借地を借りたい事業者は次のような事業を行う事が多いです。
- 店舗
- 資材置き場
- 工場
- コンビニ
このような業者から土地を借りたいという話があるならば、農地転用して事業用定期借地権などで土地を貸す事が可能です。
農地転用の注意点
農地転用をする際は、注意しておかないと不許可になることがあります。
どのような点に注意すれば、不許可とならずに済むのかご紹介しましょう。
農地転用を依頼時の注意点
農地転用を行うのは、平日の昼間に時間がある人なら問題ありませんが、そうでなければなかなか申請自体が前に進みません。
そんな時には、農地転用を行政書士等に依頼することができます。
行政書士は、様々な手続きなどを代行して行ってくれるので、多忙な方が農地転用したい時にはおすすめです。
ただし、農地転用を行ったことがあるかどうか確認しておきましょう。
行政書士でも、農地転用手続きを行ったことが無い人がいます。
このような行政書士だと時間がかかるだけではなく、何度も農業委員会などに足を運ぶ為、費用もかさむことがあります。
できれば、農地転用などを数多く行っているベテランの行政書士に頼むようにしましょう。
書類に不備があると不許可になる
農地転用は、農地を他の目的で使用する際に行う手続きですが、土地の値段を上げて売る為にどうにかして農地転用をしようという人がいます。
そういう方は、知人や友人にお願いして書類を作成する事もあるのです。
このような場合、農業委員会で調べて書類に不備があったり、明らかに住所などが農地と関係ない場合だったりすると、不許可になることもあります。
農業委員会だけではなく、都道府県などでもきちんと精査する為、書類の不備に対しては厳しいです。
前もって農業委員会等に相談してみるのも良いでしょう。
税額が変わることを理解しておく
農地を雑種地や宅地にしようと安易に考えている人は、税額が変わるという事を理解しておきましょう。
例えば、500㎡の田んぼの場合、地域によって年間の固定資産税が700円程です。
これが雑種地になると年間の固定資産税額42,000円程になります。
更に、これが宅地になると14万円程、年間の固定資産税を払う事になるのです。
このように、税金が高くなることを考えずに農地転用すると、後で支払いが大変になることもあるでしょう。
農業委員会と市町村は情報を共有しているので、確実に税額が高くなることをあたまに入れておいてください。
まとめ
農地転用は、農業をしない人にすれば必要な申請です。
しかし、土地所有者の良い分だけ聞いて農業委員会は簡単に農地転用させてくれません。
どうして農地転用をしなければならないのか?明確な理由を添えて正しく申請しましょう。