都会の生活に疲れてしまい、脱サラして地方に移住して農業をしたい!なんて考える人が増えているようです。
故郷に戻って自給自足の生活を始めても良いでしょうし、縁やゆかりはなくとも自然豊かな地域をみつけて本格的に農業を始めても良いでしょう。
農家は高齢化が進み、廃業する農家も増えています。農地の価格もどんどん下がっており、宅地と比べて購入しやすい金額になっています。
ただ、農地を購入するには制限があります。農業を始めるには、農地が必要ですが、わが国の農地法は、農家ではない人が農地を購入することを禁じています。
このため、きちんとした手順で手続きを進めなければいけません。
この記事では、農地購入までの流れや、農地購入の条件・注意するべき点、農地購入に利用できる補助金や税金などについて解説します。
記事の目次
農地を購入するには、農家にならなければいけない!?
わが国には農地法という法律が定められており、農家のみが農地を購入できるということが定められています。
このため、農地を購入するためには、農家にならなければなりません。農家の資格を認められれば、農地を購入できます。
農地法第3条許可を受けることができれば、農家の資格を得られたことになります。
この農地法第3条許可は、各都道府県知事か農業委員会が、許可・不許可を決定します。
許可されるには、いくつかの条件をクリアしている必要があります。
許可されるための主な条件は、次の通りです。
- 農家として、妥当な経営計画を持っているか?
- 農地を取得できる資金を持っているか?
- 高さに必要な農機具が最低限揃っているか?
- あなたや家族が農作業に従事できるか?
- その地域で定められた一定の農地を確保できる見込みがあるか?
- 農地を管理できる範囲に居住しているか?
地域によって、条件が異なる場合もありますが、農業を始めることに関して、きちんとした準備ができていて、農業に対する意欲を持っていることが求められます。
農地を購入するには?
農地を購入するには、いくつかの方法があります。
まずは、宅地と同様、不動産業者に農地の購入を仲介してもらう方法があります。
市街化区域以外にある農地は取り扱っている不動産業者が少ないですが、取り扱っている不動産業者も存在します。
農地を購入する地域が決まっている場合は、その地域の不動産業者に相談してみましょう。
次に、農業委員会に斡旋してもらう方法があります。農業委員会は市区町村の役所が窓口になっています。
新たに農業を始める人が農地を探すには、この農業委員会による斡旋をおすすめします。
農家の資格を得るためのアドバイスをもらうこともできますし、農業を始めた後に相談しやすくなるので、おすすめです。
また、農地を売ってくれそうな農家に相談して購入する方法です。
農地購入を希望する地域に、農家の知り合いがいる場合などは、有効な方法ですが、あなたに縁やゆかりがない土地で、新たにこの方法で農地を探すのはかなり難しいでしょう。
最近では、高齢化などを理由に廃業する農家も増えています。
もし農地を子供たちに相続しても、農地は制限が多いため、農家ではない人にとって農地は好まれません。
このため、新たに農業を始める人が見つかったのであれば、農地を売却してくれる農家がいる可能性があります。
最後に、最近では、インターネットで農地を探すことも可能です。農地情報提供システムというサイトがあり、全国の農地を探すことができます。
まだ具体的に、農地を購入したい地域が決まっていない場合などは、農地情報提供システムを積極的に活用すると良いでしょう。
農地購入の許可が必要です!
購入する農地が決まったら、都道府県知事か農業委員会の許可を得る必要があります。
この許可が無ければ、農地の引き渡しを受けたとしても、所有権の異動は法律上は無効とされます。
このため、いくら購入代金を払っても、許可が得られない限り、購入した農地の所有権は売主に残ったままとなります。
また、宅地と同様、購入した農地は登記する必要がありますが、農地の場合は、農地法の許可を受けたことを証明する書類を添付しなければ手続きが行われません。
許可を得ないまま農地を売買した場合には、農地法違反として3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課せられますので、十分に注意しましょう。
農地の税金は安い?
多くの場合、宅地と比較すると、農地に課せられる固定資産税は安く設定されています。
ただ、地域や農地の特徴によって、土地の評価が異なるため、固定資産税も変わります。
国内の農地は、
- 「一般農地」
- 「一般市街化区域農地」
- 「特定市街化区域農地」
の3つに分類されていて、それぞれの分類で固定資産税が異なっています。
一般農地は固定資産税が特に安いのですが、一般市街化区域農地は宅地と同程度の固定資産税が、特定市街化区域農地は三大都市圏にある農地で一般農地と比べるとかなり高い固定資産税が課せられます。
資金に不安があるなら助成金を活用しよう!
農地を購入して農業を始めたいものの、自己資金に不安がある人もいるのではないでしょうか?
農業の規模や、農地の価格によって左右されますが、安定して農業を始めるには、1000万円必要だという調査結果もあります。
もちろん、農地を購入するまでに、計画的に資金を貯めることも重要ですが、新規就農者を対象にした助成金や、無利子の貸し付けなどがありますので、活用を検討してみてはいかがでしょうか?
農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)
農林水産省が管轄する助成金に「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」という助成金があります。
この助成金は、就農前の研修に必要となる資金を給付する「準備型」と、就農直後に経営が確立するまでを支援する「経営開始型」が用意されています。
準備型
都道府県や全国農業委員会ネットワーク機構が、農家・農業法人の研修や、道府県農業大学校などの研修を受ける就農希望者に対して、年間150万円を最長2年間、給付する助成金です。
また、夫婦で就農する場合は、夫婦合わせて1.5人分の給付を受けられ、複数人で就農する場合にはそれぞれが最大150万円の給付を受けられます。
給付を受けるために求められる主な条件は次の通りです。
- 就農開始予定時に45歳未満であること
- 次世代を担う農業者となる強い意志を持っていること
- 決められた基準の研修を受講する計画になっていること
- 常勤で雇用契約を結んでいないこと
- 生活保護や求職者支援など、生活費を支給する他の事業と重複受給していないこと
- 青年新規就農者ネットワークに加入すること
なお、次の場合は、支給した給付金を返還する必要があります。
- 研修終了後、1年経っても就農しなかった場合
- 給付金支給期間の1.5倍(最低2年間)の期間、就農しなかった場合
など
経営開始型
市町村が、新たに就農する人に対して、農業を始めてから経営が安定するまで最長5年間、年間最大150万円を給付する助成金です。
給付する金額は、前年の所得に応じて変動させられます。また、
給付を受けるために求められる主な条件は次の通りです。
- 就農開始した時の年齢が45歳未満であること
- 次世代を担う農業者となる強い意志を持っていること
- 独立・自営で就農していること
- 基準に適した「青年等就農計画」などが作られていること
- 生活保護や求職者支援など、生活費を支給する他の事業と重複受給していないこと
- 青年新規就農者ネットワークに加入すること
また、給付金を除く前年の所得がが350万円以上になった場合、適切な就農を行っていない場合は、給付が停止されます。
なお、次の場合は、支給した給付金を返還する必要があります。
- 農地の半分以上を親族から貸借して就農していた場合、給付期間中に所有権移転しなかった場合
- 給付期間終了後に、給付期間と同期間以上、農業を続けなかった場合
まとめ
いかがでしょうか?
農地を購入するには、農業委員会などの許可が必要です。
もし、あなたがUターン・Iターンなどで農業を始めようと考えているのであれば、しっかりとした計画と、熱意ある行動が必要です!